theLwordにはまる
今更ながらtheLwordにどっぷり。
気が狂うほどShane McCutcheon。
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設定:S6直後。「取り調べテープ」の存在は無視。
先にS7-ep01_01、 S7-ep01_02をどうぞ。
すべては妄想。
--------------------------------------------------------------------------
誰もが言葉もなく立ち尽くす中、一番に動いたのはやはりベットだった。
「アル、片づけ残ってるでしょ。私もやるから」
言いながら、アリスの肘を掴み、室内へと引きずっていく。すれ違いざま、来客に声をかけた。
「ゆっくりしていって」
それを聞いて来客はかろうじて、唇の端に笑みのかけらを浮かべた。
「今の、カルメンよね?」
ふたりきりの室内でベットは声をひそめた。
「足はあった」
アリスも囁き返す。
「噂をすれば影?」
どちらからともなく大きく息を吐いて、ふたりは顔を見合わせた。
シェーンは呆然とカルメンを見つめ、カルメンは彼女から視線を逸らした。
長い沈黙の後に。
「ニュースで知って。ジェニーのこと。ベットたちの家が映ってたから、まだここに住んでるかと思って」
何日も迷ったけど。ようやくカルメンは口を開き、シェーンは我に返る。
「あの、ごめん」
口をついたのはただ、謝罪の言葉で。
「何をしたって許してもらえるわけないけど、本当にすまなかったと思ってる」
カルメンに一歩近づき、それでも、触れることは叶わず、言い募る。
「申し訳ない。本当にごめん」
じりじりするような時間が過ぎて、シェーンから目を逸らしたままカルメンは言った。
「その話はあとでしましょう」
この家で過ごした時間。ふたりの間に起きたこと。そして、終わったこと。めまいがしそうなほどの想いが一度に押し寄せた。けれど、すべてを飲みこんで、カルメンは顔を上げた。ゆっくりとシェーンに歩み寄り、その目を見つめる。
「ジェニーのこと、なにがあったのか話して」
三年振りになるのか、久しぶりに見た彼女の瞳は悲しみを湛えていて、そんな目をさせているのはジェニーなのか、自分なのか、確かめることはできず、今度はシェーンが目を逸らす。
「どこから話せばいいのか・・・」
「最初から。あなたが逃げ出した後のことを全部」
“逃げ出した”という言葉のあまりの正しさにシェーンは俯いた。
「長い話になるよ」
「時間はいくらでもあるわ」
父が、と言いかけてシェーンは言い淀み、彼が、と言い直した。
「彼が、ヘレナの一万ドルを持って、女と消えた。私はカーラをバス停まで送って・・・」
あのときを思い出しながら、シェーンはただ、正直であろうと心を決めた。
「ファック・シェリー! また、そこからなの?」
「彼女はさ、言うなれば初恋の人、だから」
「シェイ。一度会ってみたい」
「シェイのおかげで私も少しは成長した」
「その広告、私も見たわ。いい身体してた」
「今も同じさ」
「ワックスを燃やされた? なぜそこまで?」
「さあね。腹が立ったんじゃないの?」
「ジェニーが監督? なんて言うか、すごそうね」
「ものすごかったよ」
「モーリーね。愛してたの?」
「わからない。でも、好きだった」
「アデル? すごい裏切りね」
「あの時から始まったのかもしれない」
「・・・手すりの上で? 馬鹿じゃないの」
「まあ、自分でもそう思う」
「なぜジェニーと寝たの? 彼女が好きだったの?」
「たぶん、許してもらえたのが嬉しくて。私と寝たら、彼女が喜ぶんじゃないかと思った」
大まかに、それでも三年を語り終えたとき、闇は濃く、時計は深夜を指していた。ベットとアリスは随分前に帰っていて、もういない。今となっては広すぎる家はシェーンが口を閉じると、静寂に包まれた。ポーチは寒いと引き上げた二人は別々のカウチに腰かけ、それが逆に、隣り合って座っていた頃を思い出させた。
すっと息をついて、カルメンは言う。
「あなたのせいじゃない」
膝に肘をついて、その顔を隠すようにして、シェーンは首を振る。歯を食いしばり、息をとめても堪えきれず、その瞳からはボロボロと涙がこぼれた。
「あなたのせいじゃないのよ」
その肩を抱いて、髪にキスを。優しく背中を撫でて、慰めてやりたい。そんな衝動をカルメンは押しとどめた。
「愛してないのに、ジェニーを突き放せなかった。彼女が自殺でもしそうに見えたから?」
カルメンは小さく丸まったシェーンを睨むように見据えた。
「私は? あなたに捨てられても自殺しそうもなかった?」
叫びだしそうに高くなる言葉はもう、止められない。嗚咽の合間に謝罪の言葉だけが聞こえてくる。
「あなたは私を傷つけて、友達も。みんな傷つけた」
カルメンの頬も涙で濡れる。
「同じくらい自分も傷ついた」
シェーンはもう何を言うこともできず、自分の腕に顔を押し付け、更に小さく身体を丸めた。まるでこの世から消えてなくなりたいとでもいうように。考えるより先に足が動いてカルメンはシェーンのそばに座り、その身体を抱いた。ただ、涙を流しながら。
大きく上下していた肩が、やがて、小さく落ち着いてくるとカルメンは熱いものに触れていたとでもいうようにシェーンの身体から手を離した。手のひらは晩秋の夜気にすぐ冷たくなる。
シェーンもまた、その手のひらが、温かい手のひらが離れて初めて、そのぬくもりを失ってしまっていたことを思い出した。袖口で乱暴に顔を拭って顔を上げると、カルメンの顔は案外近くにあって、見上げたその表情は優しいと言ってもいいくらいだった。
「怖かったんでしょ?」
溜息とともに吐き出された言葉は質問ではなく、確認で。彼女はわかっていると感じてシェーンはなぜだか悲しくなった。
「怖かった。自分が父親に似ていて、似すぎていて」
三年前なら言えなかった言葉がするりと出てくる。
「将来、もっと手ひどく裏切るなら、今のうちにって?」
「十年以上も一緒に暮らした奥さんを捨てて、名前も知らない女とどこかへ行った」
あのとき、こうして話していれば。
「でも、それはあなたのお父さんであって、あなたではないわ」
「ごめん」
もう少し、違った方法があったのかもしれない。
「私だって怖かった。あなたは世界一の浮気者だし、私は頭に血が上りやすいラテンの星だし」
「ごめん」
正直に話すことは強さに似ている。
「半年もしないで、あなたは浮気して、私はそれを許せなくて別れるかも、って思ってた」
「ごめん」
こうして素直に話してくれる彼女こそ。
「でも、私は逃げなかった」
微かな溜息とともに。
目を伏せて、今日はもう遅いから、とカルメンは。
「泊まっていいでしょ」
「もちろん」
反射で答えて、そのあとで慌てて、シェーンはカルメンを見た。
「あなたはカウチで寝るのよ」
ピッと指を立て、カルメンは言う。ふっと笑って、シェーンは頷いた。
「オーケー」
躊躇いなくシェーンの部屋へ向かう彼女はシェーンが後ろを歩いているのに気付くと、ぱっと振り向いた。
「ついてこないでよ」
「違う。着替えを」
答えたシェーンがにやりと笑うとカルメンは少し、恥ずかしそうな顔をした。
無意識にか、カルメンは広いベッドの右側に納まり、今にも寝入りそうな顔で目を閉じた。
「じゃあ、おやすみ」
両手に枕とブランケットを抱えて、シェーンは声をかけた。
「・・・ねえ、シェーン?」
「なに?」
カルメンの声に戸口で振り返る。
「・・・運命だって言ったの、覚えてる?」
胸の深いところを掴まれ、シェーンは声を詰まらせた。
「あぁ・・うん」
背中を向けたカルメンの表情は窺えない。
「私は今もそう思ってるわ」
すぐにおやすみと告げて、カルメンはシェーンの答えを待たなかった。
先にS7-ep01_01、 S7-ep01_02をどうぞ。
すべては妄想。
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誰もが言葉もなく立ち尽くす中、一番に動いたのはやはりベットだった。
「アル、片づけ残ってるでしょ。私もやるから」
言いながら、アリスの肘を掴み、室内へと引きずっていく。すれ違いざま、来客に声をかけた。
「ゆっくりしていって」
それを聞いて来客はかろうじて、唇の端に笑みのかけらを浮かべた。
「今の、カルメンよね?」
ふたりきりの室内でベットは声をひそめた。
「足はあった」
アリスも囁き返す。
「噂をすれば影?」
どちらからともなく大きく息を吐いて、ふたりは顔を見合わせた。
シェーンは呆然とカルメンを見つめ、カルメンは彼女から視線を逸らした。
長い沈黙の後に。
「ニュースで知って。ジェニーのこと。ベットたちの家が映ってたから、まだここに住んでるかと思って」
何日も迷ったけど。ようやくカルメンは口を開き、シェーンは我に返る。
「あの、ごめん」
口をついたのはただ、謝罪の言葉で。
「何をしたって許してもらえるわけないけど、本当にすまなかったと思ってる」
カルメンに一歩近づき、それでも、触れることは叶わず、言い募る。
「申し訳ない。本当にごめん」
じりじりするような時間が過ぎて、シェーンから目を逸らしたままカルメンは言った。
「その話はあとでしましょう」
この家で過ごした時間。ふたりの間に起きたこと。そして、終わったこと。めまいがしそうなほどの想いが一度に押し寄せた。けれど、すべてを飲みこんで、カルメンは顔を上げた。ゆっくりとシェーンに歩み寄り、その目を見つめる。
「ジェニーのこと、なにがあったのか話して」
三年振りになるのか、久しぶりに見た彼女の瞳は悲しみを湛えていて、そんな目をさせているのはジェニーなのか、自分なのか、確かめることはできず、今度はシェーンが目を逸らす。
「どこから話せばいいのか・・・」
「最初から。あなたが逃げ出した後のことを全部」
“逃げ出した”という言葉のあまりの正しさにシェーンは俯いた。
「長い話になるよ」
「時間はいくらでもあるわ」
父が、と言いかけてシェーンは言い淀み、彼が、と言い直した。
「彼が、ヘレナの一万ドルを持って、女と消えた。私はカーラをバス停まで送って・・・」
あのときを思い出しながら、シェーンはただ、正直であろうと心を決めた。
「ファック・シェリー! また、そこからなの?」
「彼女はさ、言うなれば初恋の人、だから」
「シェイ。一度会ってみたい」
「シェイのおかげで私も少しは成長した」
「その広告、私も見たわ。いい身体してた」
「今も同じさ」
「ワックスを燃やされた? なぜそこまで?」
「さあね。腹が立ったんじゃないの?」
「ジェニーが監督? なんて言うか、すごそうね」
「ものすごかったよ」
「モーリーね。愛してたの?」
「わからない。でも、好きだった」
「アデル? すごい裏切りね」
「あの時から始まったのかもしれない」
「・・・手すりの上で? 馬鹿じゃないの」
「まあ、自分でもそう思う」
「なぜジェニーと寝たの? 彼女が好きだったの?」
「たぶん、許してもらえたのが嬉しくて。私と寝たら、彼女が喜ぶんじゃないかと思った」
大まかに、それでも三年を語り終えたとき、闇は濃く、時計は深夜を指していた。ベットとアリスは随分前に帰っていて、もういない。今となっては広すぎる家はシェーンが口を閉じると、静寂に包まれた。ポーチは寒いと引き上げた二人は別々のカウチに腰かけ、それが逆に、隣り合って座っていた頃を思い出させた。
すっと息をついて、カルメンは言う。
「あなたのせいじゃない」
膝に肘をついて、その顔を隠すようにして、シェーンは首を振る。歯を食いしばり、息をとめても堪えきれず、その瞳からはボロボロと涙がこぼれた。
「あなたのせいじゃないのよ」
その肩を抱いて、髪にキスを。優しく背中を撫でて、慰めてやりたい。そんな衝動をカルメンは押しとどめた。
「愛してないのに、ジェニーを突き放せなかった。彼女が自殺でもしそうに見えたから?」
カルメンは小さく丸まったシェーンを睨むように見据えた。
「私は? あなたに捨てられても自殺しそうもなかった?」
叫びだしそうに高くなる言葉はもう、止められない。嗚咽の合間に謝罪の言葉だけが聞こえてくる。
「あなたは私を傷つけて、友達も。みんな傷つけた」
カルメンの頬も涙で濡れる。
「同じくらい自分も傷ついた」
シェーンはもう何を言うこともできず、自分の腕に顔を押し付け、更に小さく身体を丸めた。まるでこの世から消えてなくなりたいとでもいうように。考えるより先に足が動いてカルメンはシェーンのそばに座り、その身体を抱いた。ただ、涙を流しながら。
大きく上下していた肩が、やがて、小さく落ち着いてくるとカルメンは熱いものに触れていたとでもいうようにシェーンの身体から手を離した。手のひらは晩秋の夜気にすぐ冷たくなる。
シェーンもまた、その手のひらが、温かい手のひらが離れて初めて、そのぬくもりを失ってしまっていたことを思い出した。袖口で乱暴に顔を拭って顔を上げると、カルメンの顔は案外近くにあって、見上げたその表情は優しいと言ってもいいくらいだった。
「怖かったんでしょ?」
溜息とともに吐き出された言葉は質問ではなく、確認で。彼女はわかっていると感じてシェーンはなぜだか悲しくなった。
「怖かった。自分が父親に似ていて、似すぎていて」
三年前なら言えなかった言葉がするりと出てくる。
「将来、もっと手ひどく裏切るなら、今のうちにって?」
「十年以上も一緒に暮らした奥さんを捨てて、名前も知らない女とどこかへ行った」
あのとき、こうして話していれば。
「でも、それはあなたのお父さんであって、あなたではないわ」
「ごめん」
もう少し、違った方法があったのかもしれない。
「私だって怖かった。あなたは世界一の浮気者だし、私は頭に血が上りやすいラテンの星だし」
「ごめん」
正直に話すことは強さに似ている。
「半年もしないで、あなたは浮気して、私はそれを許せなくて別れるかも、って思ってた」
「ごめん」
こうして素直に話してくれる彼女こそ。
「でも、私は逃げなかった」
微かな溜息とともに。
目を伏せて、今日はもう遅いから、とカルメンは。
「泊まっていいでしょ」
「もちろん」
反射で答えて、そのあとで慌てて、シェーンはカルメンを見た。
「あなたはカウチで寝るのよ」
ピッと指を立て、カルメンは言う。ふっと笑って、シェーンは頷いた。
「オーケー」
躊躇いなくシェーンの部屋へ向かう彼女はシェーンが後ろを歩いているのに気付くと、ぱっと振り向いた。
「ついてこないでよ」
「違う。着替えを」
答えたシェーンがにやりと笑うとカルメンは少し、恥ずかしそうな顔をした。
無意識にか、カルメンは広いベッドの右側に納まり、今にも寝入りそうな顔で目を閉じた。
「じゃあ、おやすみ」
両手に枕とブランケットを抱えて、シェーンは声をかけた。
「・・・ねえ、シェーン?」
「なに?」
カルメンの声に戸口で振り返る。
「・・・運命だって言ったの、覚えてる?」
胸の深いところを掴まれ、シェーンは声を詰まらせた。
「あぁ・・うん」
背中を向けたカルメンの表情は窺えない。
「私は今もそう思ってるわ」
すぐにおやすみと告げて、カルメンはシェーンの答えを待たなかった。
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今更theLwordにはまりまくる。
Shaneに惚れて、毎日腹筋。
そう言えば私もゲイ♀だった。
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