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theLwordにはまる 今更ながらtheLwordにどっぷり。 気が狂うほどShane McCutcheon。
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設定:S6直後。「取り調べテープ」の存在は無視。
先にS7-ep01_01をどうぞ。
すべては妄想。
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「ティナは?」
ベットがポーチに出ると振り向きもせずにシェーンは言う。その背中は闇に溶けてしまいそうに見えて、ベットは不安に思う。
「ニューヨークに。新しいプロジェクトの初めてのミーティングが明日の早朝にあるの」
言いながら、ベットはシェーンの隣に腰を下ろした。
「そう」
「追悼式、でれなくてごめんって」
「大丈夫だよ」
「何日かニューヨークにいることになるわ」
「なにするの?」
「住むところを探したり、アンジーの幼稚園の手続きとか」
シェーンは俯き、ビールのボトルを回した。ベットは彼女の身体に手を回し、引き寄せる。ごめんねと囁くと、シェーンは首を振った。
「こんなときに引っ越すだなんて・・・」
「・・・そんな、ベットたちは悪くないよ」
「あなたが心配」
シェーンは微笑んでみせた。その笑顔に、ベットは泣きそうに胸が締め付けられる。
「いいことじゃないか。ティナは出世して、ベットは人脈を広げる。二人のためになる」
「あなたが心配なのよ?」
言いながらベットは、シェーンの肩を掴んで、自分の方を向かせた。シェーンを見つめて、言葉を続ける。
「いい?あなたは私と似ている」
シェーンはふっと笑い声を洩らす。
「そっくりよ」
言葉を重ねてベットもにやりと笑ってみせた。
「どこらへんが?」
「そうね、例えば・・・女に誘惑されやすい」
「そして、誘惑に弱い?」
「そう」
シェーンは、ははは、と乾いた笑い声を発して、ベットを促した。
「他には?」
「あなただってワークアウトフリークよ。私のこと言えないんだから」
シェーンは再び、乾いた笑いを洩らす。
「それから、友達がどんなにひどいことをしても、責めたりしない」
「キャンダス?」
「そう。ニキ・スティーブンス」
 
ベットはシェーンを引き寄せた。
「それなのに、自分がつらい時は、つらいって言えない」
シェーンは額をベットの肩に押し付けるようにして。
「大切なものほど、壊したがる」
小さく漏れた声は否定なのか肯定なのか、ベットにはわからなかった。
「そのくせ、とても怖がりで、何もかも、ひとりで抱え込む」
その顔は泣きそうに歪んだけれど、目を閉じて、シェーンは感情をやり過ごした。
 
「私もそう。でも、今は努力してる」
「ティナが大切だから?」
大きく息をついて、シェーンはベットから離れる。
「そう。ティナのために。アンジーのために。家族のために」
「あんたはすごい」
「あなたにもできる」
「どうかな」
シェーンは肩をすくめた。
「だって、あなたはとても友達想いよ。友達にするように、恋人のことを想えば」
 
闇が降りた街にプールは幻想的に光り、すっと吹き抜けた風は水面を揺らす。ベットは思い出す。ずっと前に、私はここでシェーンに救われた。友情に厚い、孤独を知る人間。そう長くはない時間だったけれど、私はとても孤独だったから。
 
「覚えてる?」
不意にシェーンが言う。
「ちょうど思い出してたとこ」
ベットにはシェーンの言いたいことが分かった。
「ジェニーとちゃんと話したの、あれが初めてだった気がする」
あの夜、三人でビールを飲みながら、他愛のない話をした。
「あれから、あなたは”愛のあるセックス”を知った」
ベットはいたずらっぽい笑みで。
「あんたは私に弟子入りしなかった」
すればよかったのに。子供っぽく続けて、シェーンは。
「そしたら、あんた、チャートでパピ以上になってたよ」
シェーンをにらむ真似をして、ベットはそばに置いてあったマルボロの箱から勝手に1本取り出した。シェーンがそれに火をつける。大きく吸い込んでから、ベットは口を開いた。
「あの頃、ジェニーは私を気遣ってくれた。私なんか、嫌われてて当然だったのに」
「それがジェニーさ」
シェーンはちらりと笑みをみせ、自分も煙草に火をつけた。
「頭がおかしいとしか思えないことと、愛情たっぷりのこと、同時にやってのける」
「複雑な子」
「私とは違った」
「あなたも複雑よ。でも、あなたたちは仲が良かった」
「友達でいるべきだった」
「”誘惑に弱い”」
無意識に言葉を返し、シェーンの嫌そうな顔をみて、ベットは言い直した。
「そうかもしれないわね。でも、もう、終わったことよ」
 
 
「シェーン」
アリスの声にベットは振り返った。シェーンは動かないまま。
「あんたにお客さんだよ」
アリスと来客の間でベットの視線が忙しく往復する。
「誰?」
シェーンはビールのボトルを咥えた。
「えーと・・・」
アリスが言い淀む。
「誰だよ?」
ようやく振り返ったシェーンが目にしたのは、信じられない人物だった。

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すべては妄想。
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「ニキは?」
「呼んでない。面倒だから」
 
「お葬式は?」
「彼女はユダヤ教だから、家族だけで。遺体はもう郷里に着いてるはず」
 
「マリーナは?」
「電話しといた。こないだ話したばかりなのに信じられないって言ってた。みんなによろしくって」
 
「彼女の荷物はどうするの?」
「こちらで全部処分して欲しいと」
「そんな」
「ジェニーは家族とうまくいってなかったから」
「シェーンだけじゃ無理ね」
「片づけ、手伝いにこないと」
 
「ティムから連絡は?」
「うちに電話があったわ。かわいそうな子だった、って」
 
「ジョディからもメールがきた。ほとんど話したことはないけど、みんなの仲間でしょって」
「シェーンはジョディと仲良かったよね」
 
 
 
 
追悼式という名目で集まった面々は言葉少なだった。ジェニーの、今ではシェーンとマックスの住む家のリビングで、小さく囁きあったり、物思いにふけっていた。
 
「最後はこんなんになっちゃったけどさ。ジェニーはそう悪い子でもなかったよ」
沈黙を破るように、アリスが言葉を発した。マックスがそれに続く。
「僕にとっては人生を変えてくれた恩人だ。ジェニーがいなければLAにも来なかったし、悩み続けていたと思う」
「ジェニーがプラネットでバイトしてた頃が懐かしいわ。あの頃は平和だった」
キットが笑った。マックスが眉を寄せる。
「平和だった? あの頃からジェニーは変だったよ」
それを受けて、シェーンが低く呟いた。
「ジェニーは最初から変な子だった」
 
 
 
戸口でアリスはターシャとキスを交わす。キットとヘレナは一足先に仕事に向かっていた。
「仕事、気をつけてね。ひょっとしたら、今夜はここに泊まるかも。シェーンが心配だし」
ターシャからの電話を待ったあの夜、シェーンがそうしてくれたように。
「わかった。明日の朝、アパートにいないようなら、メールしておいて」
夜勤の前に一旦、アパートに戻るターシャをアリスは見送った。名残惜しげにターシャの後ろ姿から目を離し、室内を振り返ると、そこにはもう、ベットの姿しかなかった。
「マックスは?」
テーブルを片づけるベットを手伝いながら、アリスは訊いた。
「ちょっと横になりたいって部屋に。シェーンはポーチに出たわ」
 
しばらく、黙々と部屋を片付けていたアリスはふと思い出して言った。
「昔、ここのポーチでシェーンが真っ白にされてた。消火器で」
「は? うそでしょ?」
ベットが振り返りながら噴き出した。
「ほんとだって。カルメンにね。二人は”モノガミー”の話を」
アリスは両手で引用符を形作った。
「それで、消火器で?」
ブシューっと効果音をつけて、ベットは手真似をする。頷いて、アリスは。
「シェーンが浮気したんだろうね」
「あの子、セックス以外の方法で感情を紛らわせることができないの?」
ベットは呆れたような、それでも愛情は隠せない諦めの混じった溜息をつく。
「一度、私に電話してきたことはあるよ。シェイが行っちゃったとき。ふたりで”超シェーン”看板に落書きをした」
集めたグラスをアリスはシンクに入れた。
「あのときだけだね。女関係では一度もない」
洗っとくから、シェーンのそばについててやって、とアリスは言って、蛇口をひねった。
「目を離した隙に、どこかに女の子ひっかけに行ったら面倒だし」
 

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プロフィール
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いぬ
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女性
趣味:
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自己紹介:
世間に遅れること何年?
今更theLwordにはまりまくる。
Shaneに惚れて、毎日腹筋。
そう言えば私もゲイ♀だった。
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